父親を、「お父さん!」としてもっと頼れる社会をめざして

クレイグとマークのコラムの紹介です。


https://www.we.org/stories/breaking-the-stereotype-of-incompetent-dads-on-fathers-day/

 

 

買い物の真最中に、あなたのまだ小さいお子さんが、欲し

かったおもちゃを買ってもらえなかったことに腹を立て、人

目をはばからずに愚図り始めました。周囲の人は黙って

(そうじゃない人もいるかも)こっちに一瞬視線を向けます。

その向けられた目線は、だいたいの場合優しい視線では

ありません。

 

ほぼ全てのお母さんが、自身の子育てを疑問視される視線

を周囲から浴びた経験をしたことがあるかと思います。では、

お父さんはどうでしょう?

 

昨年、ミシガン大学が475人の幼い子どもを持つ母親さんに行

った調査では、10人に6人の母親が、子育てについて恥をかか

されたような経験をしたことがあると答えています。子どもに与

える罰や、夕飯の献立についてまで、あらゆることに関して批

判されたり、頼んでもいないアドバイスを受けたりしたことがあ

ると。

しかし、私たちが引っかかったのは、その調査結果ではなく

調査のやり方、つまり「父親に質問していな

い」ということでした。

 

言うまでもなく(そして残念なことに)、自身の子育てについて

一方的な批判を受けたことのあるお父さんはたくさんいます。

しかしながら、大学の研究者ですら、こういう経験を「女性特有

の経験」と無意識的に判断してしまうのです。このことは、子育

てが父親にとっていかに仕切りが高いものになっているのかと

いうことを見事に表しています。

 

私たちは、子育てに関してお父さんを批判するということを

あまりしません。むしろ、「イクメン」とかいう言葉もあるよう

に、その努力を称賛しています。なぜ、そんな風に褒めら

れるのでしょうか?その理由は簡単です。はっきり言って、

私たちは子育てに関しては最初からお父さんたちにあまり

期待をしていないからです。

 

今の世の中では、「お父さんは家では肩身が狭く、家では

お母さんが幅を利かせている」というような感じのメッセー

ジがあふれています。「ダメな親父代表」というような感じ

の、アニメのシンプソンズに出てくるホーマー・シンプソン

から、最近のマクドナルドのCMに出てきた「お母さんが今

日は外に出てて、子どもに何を食べさせて良いか分から

ずマックにやってきたお父さん」に至るまで、メディアは、

「頼りないお父さん」をからかうことが大好きです。「オム

ツ替えや掃除も一人でできないお父さん」をいつも欲して

います。

 

外でベビーカーを押しているお父さんは、周囲から尊敬のま

なざしを向けられます。まるでそれが偉業であるかのように。

お母さんに対してはそんな風に見向きもしないのに。こういう

ことを、当たり前のこととして私たちは受け入れています。二

歳の反抗している子どもに靴を履かせようとしているお父さ

んが公園にいたら、近くにいる女性たちは助けに行こうとす

るでしょう。もしお母さんが同じ境遇にいても、何も起こりま

せん。「上手くやるだろう」と思われながら人が通り過ぎてい

くだけです。

 

そもそも、さっきも言った「イクメン」という言葉があること自

体、社会が固定観念に縛られていることの現れです。「イク

メンやってます!」と自慢げに言うお父さんもいますが、親

である以上、その責任はパートナーであるお母さんと同等

です。にも関わらず、「イクメンやってます!」なんて言うの

は、自分たちに生まれた命を育てるというよりは、副業のよ

うな感覚で子育てを捉えているような印象も受けます。

 

「『お父さんは子育てに関しては何にもできない』という思い

こみに私たちは縛られています。それゆえにお父さんは何

もしなくなってしまうという、負の連鎖が起こっています。」こ

う語るのは、男らしさを問い直すネットメディア「The Good M

en Project」の編集長のエミリー・ラドゥーサーです。

 

ラドゥーサーは、その負の連鎖を断つ鍵は、「子育ては親

二人の共同作業であり、二人とも同等の責任を負ってい

る」という考え方を、「新しい当たり前」にすることだと言い

ます。

 

父の日は、社会の固定観念を打破し、父親に対する社会

の期待値を高める絶好の機会です。家庭や子育ての担い

手としての父親の存在や献身を祝うことで、これまでの固

定観念から解き放たれた、新たな男性像を社会に示そう

ではありませんか!

 

それを実行するためのアクションは、難しくはありません。父

の日、あるいは母の日に渡すカードから始められます。母の

日のカードは、たいてい家事についてのジョークだったり、普

段の子育てや家事についての感謝を書いたうるっとくるような

モノだったりします。父の日のカードは、たいていお酒ばかり飲

んでいることについてジョークだったり、家でゴロゴロしているこ

とについてのジョークだったりします。その代りに、「怪我した時

に包帯巻いてくれてありがとう」とか、「毎日皿洗いしてくれてあ

りがとう」などということを書いたカードを渡してあげると良いで

しょう。

 

次の問題が、プレゼントです。父の日そして母の日は、批判

的に見れば最も性規範に縛られた行事の一つで、その象徴

となっているのがプレゼントです。お父さんにはネクタイを

(『大変なお仕事頑張って』というある種の性規範に基づい

て)あげることが多いです。一方、お母さんには、家具だっ

たり、家族に関連するプレゼントが多いですね。子どもた

ちが写っている写真を収めた写真立てだったり。お父さん

もそういう写真が欲しいかもしれません。家で使う新しい皿

洗い機が欲しいかもしれません。こういうプレゼントは、決し

てお母さんだけのモノではないですよ!

 

最近、「〇〇という病」という表現で社会の病理を表現

する言い方が流行っていますが、私たちは、「男らしさ

という病」が社会を覆っていると思っています。私たち

は、この病が社会から消え去り、より自由で多様な男

性像について前向きな議論が新たに起きることを願っ

ています。父親としての信頼や期待を社会全体でお父

さんに与えることができ、それにお父さんが応えられる

社会をつくっていくということも!

 

 

参考リンク

 

ミシンガン大学が行った母親への調査(英語)
 

https://www.sciencedaily.com/releases/2017/06/170619092158.htm

 

子どもたちに何を食べさせて良いか分からずに困っている

お父さんを描いたマクドナルドのCM(英語)

 

https://www.youtube.com/watch?v=u22R4FAepCU

 

※ 今回、「父の日、あるいは母の日は性規範に縛られたイ

ベント」という指摘もコラムの中であったが、この性規範を問

題視し、父の日、あるいは母の日の存在そのものに批判的

な立場を取っている識者もいる。(一つの視点として参考にし

ていただければ!)
 

http://blogos.com/article/229893/