【コラム】 収容施設で虐待されている子どもたち

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンのパートナー団体であり、フ

ィリピンで活動を行うプレダ基金の運営を行っている、シェイ

・カレン神父が執筆したコラムをご紹介します。

 

http://www.preda.org/fr-shays-articles/children-abused-in-detention/

 

ここ数ヶ月、ドナルド・トランプ大統領の政策によって、様々

な事情で正式な手続きを経ずにアメリカに入国した移民の

子どもたちが、おとなたちから引き離され、収容施設に強制

収容されました。

 

様々な宗派の教会指導者たちや、民主党、共和党の政治

指導者たち、そして心優しい何百万人ものアメリカ人、さら

に国際社会は怒りを露わにし、これは子どもの持つ人権を

侵害するものであり、児童虐待であると主張しました。

 

トランプ大統領は指示を撤回し、この最も残酷で不愉快な、

そして憎むべき政策を変更するための大統領命令に署名し

ました。変更するに至ったのは思いやりからではなく、社会

的及び政治的圧力がもたらした結果です。しかし、親子の

即座の再会については大統領命令には含まれておらず、

どのように進めて行くかについては全く提示されていないのです。

 

親や保護者たちが、アメリカに正式な手続きを経ずに入国

したことに対する法廷審問を刑務所で待っている間、その

子どもたちはウォルマートの倉庫内の小部屋に閉じ込めら

れています。こうした子どもたちはおそらく南米の国々に送

り返されることになるでしょう。送り返された先にあるのは暴

力と深刻な人権侵害、空腹と抑圧です。子どもたちには、ア

メリカへ逃れるための手続きを行う権利があります。豊かな

国アメリカは、貧しい国から来た人々を保護し、彼らの要望

に応えるべきです。トランプ大統領のゼロ寛容政策によって

何百人もの人々が本国へ送還されています。ある男性が本国

へ送還されましたが、彼の3歳になる子どもはアメリカにある収

容施設に留められました。同じような事態が後を絶たない状況

が来るはずです。

 

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官とニッキー・ヘイリー国

連大使は会見の中で次のように発言しています。「アメリカ

は揺るぎない人権擁護国ですが、国連人権理事会の理事

国の多くが人権を侵害している不公平な状態である以上、

アメリカは理事会から脱退します。」アメリカへの亡命希望

者の子どもたちの権利侵害について触れることはありませ

んでした。

 

共和党上院議員や、民主党員を含む連邦議会の議員など、

大統領のやり方に批判的な立場を取る多くの人々が、子ども

たちを親から引き離すトランプ大統領の政策によって子どもた

ちの権利が侵害されているとして、これを激しく非難しています。

2,500人もの子どもたちが親から引き離され収容施設内に留め置

かれています。そうした子どもたちの悲嘆にくれる姿や泣き声が録

画され、ネット上に公開されていたりしているのです。

 

対してドナルド・トランプ大統領は、悪意のある行為だとして

民主党員らを不当に非難しました。トランプ大統領は今年1月、

「便所のような国」から来る移民ではなく、ノルウェーからの移民

を受け入れるべきだと発言しています。この攻撃的で人種差別

的な発言は、非白人国家に不快な思いをさせています。そうし

た国々は、受けた侮辱と傷つけられた自尊心に耐えることを強

いられているのです。トランプ大統領は特定のイスラム教国か

らの移民を禁じました。大統領は、アメリカ建国を支えてきた移

民たちを自己中心的に排除する態度をみせることとで、自らの

政治的キャリアを築いてきました。大統領による強制収容には

筋書きと目的がありました。トランプ大統領は、自ら考案し実施

した強制収容を中止させるための法案が議会を通過することを

望んでいます。議会はこの法案を承認せざるを得ず、そうなれ

ば大統領はメキシコとの国境沿いに壁を建設するための費用、

250億ドルを手にすることになります。政治家たちは、これは脅迫

で手にした予算だと言い、子どもたちは人質や担保として大統領

の政治駆け引きに利用されていると口にする者もいます。

 

大統領夫人自ら、そして元大統領夫人らは、こうした行為

は間違っており、アメリカを象徴する真の精神に反すると

声を挙げました。トランプ大統領の姿勢に変化が現れた

のは、周囲の怒りが耐え難い圧力にまで高まった後のこ

とです。ようやく大統領は譲歩せざるを得なくなったのです。

 

ここまでの話はフィリピンの話ではありませんでしたが、もし

マニラ首都圏や地方にある自治体や市の児童収容施設を

訪問する勇気があるのであれば、気付け剤と抗うつ剤を持

参するといいでしょう。中に入ることを許されれば、衝撃的な

までに惨めで非人道的な状況を目にすることになるでしょう。

そこにはフィリピンの子どもたちが、男の子も女の子も、中に

は10歳ほどの子どもまでもが、まるで犯罪者であるかのよう

に鉄格子の中に拘束されています。

 

“Bahay Pag-asa”または「希望の家」と呼ばれる自治体運

営の収容施設もあります。しかしそこに希望はありません。

栄養状態の悪い何百人もの子どもたちが、すし詰め状態で

汚い小部屋に押し込められています。こうした非人道的な収

容にかかる費用を支払っている一般市民は、ほとんどの施設

において、格子の中の子どもたちに面会するために中へ入る

ことを許されていません。政治家たちが収容施設へ足を運ぶ

ことはありません。

 

刑務所の狭い監房の中に20人もの子どもたちが収容され

ているBahay Pag-asaもあります。監房には配管の詰まっ

た便器がものすごい悪臭を放っています。糞尿の臭いが

立ちこめ、子どもたちも訪問者もその悪臭にむせてしまう

ほどです。ある女性訪問者は中に入り、衝撃のあまり動

けなくなり、困惑しました。彼女は、フィリピン人はどうして

子どもたちにこんな仕打ちをするのかとたずねました。

 

児童収容施設の部屋には、ほとんどの場合、ベッドもなけ

れば普通に使用できるトレイもありません。洗面やシャワ

ーのための場所はどこにもありません。子ども専用の収

容場所を備えている施設もある。子どもたちは医療を受

けることもできず、未処置の傷のある子どももいれば、精

神に障害のあるおとなと一緒に監獄に閉じ込められてい

る幼い子どももいます。教育や保健サービス、娯楽、発育

に応じた指導、ゲームや漫画、テレビはほとんど、あるい

は全く与えられていません。屋外で体を動かしたり太陽の

光を浴びることもほとんど、あるいは全くありません。年長

の男の子たちに性的虐待を受けている子どももいます。看

守もまた、子どもたちを虐待しているのです。

 

こうしたフィリピンの子どもたちは国家に見捨てられ、地域

の政府機関による搾取と処罰に苦しめられているのです。

親に忘れられ、またはその親もいないのです。こうした子ど

もたちの多くは法律上、刑事責任を問われることはありませ

ん。そしてすべての権利を有する子どもとして扱われなけれ

ばならないのです。しかし、実態はそうなっていません。

 

もちろんこれは共和国法第7610号及び9344号の下、違

法な収容であり、人権侵害に相当します。しかし、そんな

ことを気にする人間がどれほどいるでしょう?そんな人間

は、少数のNGOか国の無力なソーシャルワーカーや、職

員だけです。それに比べたら、トランプ大統領の児童収容

施設はパラダイスです。

 

(訳者: Mikikoさん)

 

 

カレン神父と、プレダ基金の子どもたち