水あるところに、元気な人と地域あり!

水の仕事は、乾いた喉を潤わせてくれるだけではありませ

ん。水は、日々の私たちの生活、そして地域を元気にしてく

れます。ケニアのイルカアト村に住むジェーン・キクワイも、

水で元気になる村を見て喜んでいます。(清田)

 

https://www.we.org/stories/life-of-the-party/

 

 


ジェーン・キクワイがケニアのマサイラマ地方にあるイルカア

ト村にやって来たのは16歳の時でした。彼女は初々しい花嫁、

夫と暮らす嫁ぎ先の家に向っていました。夫が所有する僅かば

かりの土地に建てた草ぶき屋根の家です。「幼い歳で結婚した

のですが、当時は女の子がこの年齢で嫁ぐのは普通だったの

です」と彼女はスワヒリ語で説明してくれました。彼女は7年生

で学校を中退しました。僅かばかりの土地をもつ農家の親に

は、彼女に学業を続けさせる余裕がなかったからです。中退

した後すぐに、彼女は家族の知り合いで、農民でもある若者

と結婚したのです。

 

ジェーンはイルカアト村がすっかり気に入ってしまいました。

彼女が嫁いで来たのは雨期で、草や木は青々と茂り、たっ

ぷり水を含んだ葉っぱからは絶えずぽたぽたと雫がこぼれ

落ちていました。そこは彼女が育った所とは反対でした。大

通りに近い土埃の立っている町で、大雨になると歩道までも

泥まみれになってしまいます。両親は町の近くの小さな土地

で農作物を作っていました。嫁ぎ先新居まで公共交通機関で

向かう数時間の旅の中で、彼女は道の両側を縁取るように高

々と茂るトウモロコシ畑を通り抜けて行きました。ここは畑作業

に適した場所になるのではと思ったことを、ジェーンは覚えてい

ます。

 

近隣の人たちに会うや、彼女はイルカアト村を自分の故郷

にしようと心に決めました。村びとの優しい眼差しが、若か

った彼女の心を和ませてくれたのです。

 

イルカアト村は最初、牧歌的なところに見えましたが、後に

なって彼女は乾期にはそこは非常の厳しい所だと気づきま

した。「雨が降れば洪水になることが時々あり、また雨が止

めば今度は乾期、まさに情け容赦もないひどいところです。

土地はカチカチで固く、何一つ育ちません」。

 

 

 

このような自然環境の挑戦を何度も受けたにもかかわらず、

ジェーンはこの新しい村に直ぐに溶け込み、変わらぬ絆を強

めて行きました。過去24年にわたって、イルカアト村の発展を

心に描いてきたと同じように、彼女は家族の繁栄にも献身的

に働いてきました。彼女はこの2つが相互に繋がっていること

を知っています。そして、差し迫った清潔な水への欲求ほどこ

の情熱と深く絡み合っているものは他にないのです。

 

ジェーンがイルカアトに村に移住してきた時には、家庭用の水を

週に数回川まで汲みに行くのに片道3時間かかるのが常でした。

その水も清潔ではありませんでした。彼女や家族がその水を飲むたびに、健康を危険にさらしていました。しかし、他にとる手段は他にありません。子育てを始めるころになると(彼女は7人の子の母親で

す)子どもたちの健康がいつも気がかりでした。

 

その時、このようなことが起こったのです。長男のバーナー

ドが腸チフスにかかり3日間入院し、その後、完治するまで

休学させられたのです。そのため、WE(フリー・ザ・チルドレ

ン)が2016年にイルカアト小学校で太陽光発電のクリーンウ

ォーター計画を開始した時、ジェーンは先頭に立って中心的

な働きをしました。この水が、自分だけでなく、生徒たちにとっ

てもいかに大切なものになるかを知っていたのです。給水所

の場所を設定すれば、村人が水汲みに川まで歩いて行かず

にすみ、また学校にも一年中清潔な水道水を通せることを知

っていたのです。

 

 

 

イルカアト村は、新たなプロジェクトを立ち上げる時にはい

つもジェーンの快活な活動に期待を寄せるようになりまし

た。これだけでは終わりませんでした。唄って唄って、踊っ

て踊って、ジェーンは自宅にもまた250人を超える近所の家

庭にもきれいな水が身近にあることの重要性を伝えました。

彼女は他のママたちを集め、みんなで空の容器をドラムのよ

うに叩きながら、村の美しいコーラスを指揮しながら、教室か

ら水道の蛇口までの短い距離をみんなと一緒に歩きました。

ジェーンも今は40歳の母親、彼女はイルカアト村が子ども

たちの成長と共に―1つの小さな村が豊かなに発展してい

くのを見てきました。土地を買い定住する人がますます増え

て行く様子を見てきました。小学校がWeの協力を得て拡大

していくのを見定めてきました。ビジネスがひっきりなしに誕

生するのも見てきました。そのつど発展を祝いました。「この

場所が大好きなんです」と彼女は話します。「発展が目に見

えた時には、それはもう大興奮」。

 

個人的には、ジェーンの向上は彼女の子どもの教育と繋

がって行きます。川まで水汲みに歩く時間が省けた今、そ

の時間を利用して、ジェーンは新鮮なケールやマンゴ、ア

ボカドやオレンジなどの販売を始めました。彼女と夫は今

でも未だトウモロコシを生産していますが、さらに土地を購

入して、生産と貯蓄を増やすことができるようになりました。

 

「清潔な水のおかげで多くのことが可能になる、なんと喜ばしいことでしょう。私たちは健康でいられる、ビジネスもできる、そして、水汲みのために長い時間を無駄にすることがないのです」
ジェーン・ キクワイ

 

副収入で、子供全員を学校に通わせることができるように

なりました。そのうち3人はすでに高校を卒業(1人は大学

に在学)し、後の4人はイルカアト小学校に通っています。

長男のバーナードですが、彼女が以前に健康を案じてい

た頃とは違って、逞しくなり、自分で探してきた機械工の

仕事も順調で、彼女は今ホッとしています。

 

子どもが一口水を飲む度にまとわりついて離れなかった危

惧も、今は消え去りました。毎朝自宅からたった15分の給水

所に行くとき、彼女はひとりで静かに口ずさんでいます。彼女

はこの計画が着手された最初の時と同じように、今日も水プ

ロジェクトに感謝しています。そして、今も変わらず献身しイル

カアト村の発展を見続けています。
 

(原文記事執筆:セディ・コスゲイ 翻訳:翻訳チーム 松田

富久子 文責:清田健介)