フィリピンの台風で被害にあった少女の話

 FTCJの支援先であるプレダ基金のシェイ神父のコラムの紹介です。

The original article)



レイテ島タクロバン。私がここに来たのは、人身売買に立ち向かうためのセミナーの準備と、台風ハイエン(ヨランダ)によって被害にあった人々、肉親をなくした人々が住みやすい避難キャンプにしていくためのグループ療法を開くためでした。子どもたちには人形劇をやり、虐待から守るための方法を教えました。しかし、まず、助け出された孤児たちのもとへ向かいました。その中の
1人の子の話です。

 

わたしたちがエリカと出会ったのは、住んでいた家から300メートル離れた白いキャンバス地のテントの中で、おじさんとおばさんと一緒でした。彼女は悲しい経験をしたにもかかわらず、進んで話をしてくれました。

 

海岸まで500メートルでした。117日の夜、彼女と両親、2人の兄弟と両親の部屋で一緒に寝ていました。雨が激しく打ち、風も強くなり、一時間ほどして、目が覚めました。

「強い嵐になりそうだから、みんな体をよせあおう」とお父さんが言いました

2時。風が唸って吹き荒れ、ココナッツの実が落ちて村中の金属シートの屋根にあたって砕ける音が響き渡りました。家族5人は抱き合いました。それが最後の抱擁になりました。

118日朝5時に、はるか230キロメートルから吹いてきた風によってできた69メートルの高さのものすごい波が、海から村に向かって押し寄せてきました。

突然大波がエリカたちを襲ってきました。窓を突き破り、ドアを壊し、家の中水いっぱいになりました。助けてと叫び、水の上へと泳ぎました。お父さんは屋根の上にあがれと叫びましたが、すでに遅く、水はすべてを飲み込み、逃げることはできませんでした。

そして、屋根がもぎ取られ、暗い空に飲み込まれて行きました。泳ごうと、浮かぼうとしました。そのとき、木が流れてきて残っていた壁に引っ掛かりました。

「枝につかまれ」嵐の轟音の中、父さんは叫びました。両親と兄弟は枝をつかみましたが、エリカは届きませんでした。屋根の裏板にしがみつきました。水は首まできていました。みんな離れ離れになるのがわかるとお母さんは叫びました「エリカ、愛している。あなたを思っているわ。生きて。生きるのよ」

押し寄せる波に流され、暗闇の中に消えて行きました。それがエリカが見た家族の最後の姿でした。エリカも流されココナッツの木にぶつかり、しっかりとしがみつきました。

何時間もたち、波が弱くなり、水が引いてきました。「神様助けて、家族を助けて、お願い。死にたくない」水が完全に引くまで木にしがみついていました。両親と2人の兄弟はいなくなりました。

2か月たってもエリカはまだ悪夢をみます。「よく眠れません。いやな夢を見るの。おぼれ死ぬ夢。家族にあいたい」涙が眼からこぼれ落ちて、口を閉ざしました。

 

そして、以前エリカたちが住んでいた小さな家のあった場所へ歩いて行きました。瓦礫の山で、ブロック塀が半分だけ残っていました。壊れた鏡、ヘアーブラシ、ぼろぼろになった写真がありました。お父さんが乗っていた小さな白いトラックは、正面のガラスと屋根が倒れた木で壊れていました。辺り一帯すべて壊滅していました。家一軒残っていません。

波が去った後、遺体は散らばり、瓦礫の下敷きになっているものもあり、見つけて、埋葬するのに1週間かかりました。200人以上が亡くなり、見つかっていない人がまだたくさんいます。遺体は見つからないでしょう。水が引くときに一緒にさらっていったのでしょう。荒れ果てたこの土地を見回すと、倒れた木があちらこちらにあり、残っているココナッツの木は、回りをすべてはぎ取られ、湿った灰色の空に、細々と立っていました。

今はエリカの住む家になっているテントに戻ると彼女は言いました、「生きていること、肉親がいることに感謝しています。」

「父さん、母さん、兄弟に会いたい。どこにいるかわからないけど、どこにいようとも、みんなのために祈ります。神様がすべてご存じでしょう」

将来の事を聞くと、「勉強して先生になりたいです。話を聞いてくれてありがとう」最初に会った時より、いくらか明るくなったように見えました。

(翻訳チーム:
天海一菜 文責:浅田紀子)

 


TOTO株式会社から緊急支援にご寄付を頂きました。

 TOTO株式会社から緊急支援にご寄付を頂きました。


2013年11月8日にフィリピンの中部に上陸した台風30号(フィリピン名:ヨランダ、アジア名:ハイエン)によって甚大な被害が引き起こされ、その被害状況は未だに全体がつかめておらず日に日に死傷者数、行方不明者数が増えています。

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、被災した人々への緊急支援を実施することにしました。また、被災地が広範囲に渡り、未曽有の被害を生み出していることから、短期的な支援だけでなく、復興を視野に入れて、長期的な自立支援に取組むことを計画しています。

そんな中、2013年度フィリピンの先住民族コミュニティへの水支援(井戸の設置や汲みあげ指揮水ポンプの設置など)事業に対して助成くださったTOTO株式会社から、今回の台風被災者への支援事業のために5,766,862円の募金を頂きました。

こちらの募金はTOTOグループの社員の皆様から283万円、さらに、マッチングギフトの取組みとして、社員の皆様からの募金額と同等額を会社から拠出いただき、上記金額を頂いたものです。

フィリピンの人々の支援のために、たくさんの募金を集めてくださり心より感謝申し上げます。

頂きました寄付金は、セブ島北部、レイテ島タクロバン、サマール島東サマール地域で被災した人々への食糧、生活用品、学用品の配給や、子どもの心のケア、小規模農家へのセミナーや支援、学校建設・修復事業に、使わせて頂きます。

 

 


フィリピン台風30号 被災地訪問報告

フィリピンを襲った大型台風30号被災地支援へのご協力ありがとうございます!

 私たちのパートナー団体「プレダ基金」の代表のカレン神父(アイルランド人)が、
台風30号によって被害を受けたフィリピンのセブ島北部など被災地を訪問しました。
カレン神父から被災地域の訪問報告レポートが届きましたので、ご紹介します。

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EYEWITNESS ACCOUNT OF THE AFTERMATH OF TYPHOON YOLANDA
http://www.preda.org/en/
2013年11月22日

報告:プレダ基金 代表シェイ・カレン神父


11月19日火曜日午前3時、私はプレダ基金の2人のスタッフと共にマニラから飛行機で1時間のところにあるセブ島に飛び、そこから車でセブ島北部へと移動していた。今回の訪問の目的はセブ島の北端にあるのダーンバンタヤン(Daanbantayan)、ボゴ(Bogo)、そしてバンタヤン島(Bantayan)での被害状況の調査と地域や人々のニーズを把握し、更に被災した人々への支援物資を直接届けることである。そして、親や親せきを亡くした子どもを誘拐や人身売買から守るために地域にいる子どもやおとなたちへ注意喚起をすることももう一つの大切な目的としていた。

        フィリピン台風30号被害

2時間ほど運転すると被害を大きく受けた地域に到達したが、そこは台風の影響で停電となっていて家々の明かりなどはなく辺りは漆黒の闇が広がっていた。月の明かりが孤立をより際出せていた。残された家々はまるで戦争や爆撃で破壊されたような佇まいであった。かつてここの地域には何千という世帯が住んでいたのに、そのことがまるでなかったように破壊されていた。朝日が地平線から顔を出した時、あたり一面がいかに壊滅的な状況かがよりはっきりしてきたのだった。その状況を見て、自分が甚大な被害を受け人々が亡くなってしまったという事実を目撃していることを再認識した。復興はきっと何年もかかるだろう。

太陽が昇ると電信柱が倒れ、大きなアカシアの木がなぎ倒されるなどし荒涼とした景色がより鮮明に視界に入ってきた。何百というがっしりとしたココナッツの木々が折れ曲がり、風速240キロもの未曽有の嵐がこの地域を襲い太い木さえも倒していったことが分かった。マンゴーの木も根こそぎ倒され、根っこが空を向いている状態で葉は枯れていた。裕福な家庭の家のみが嵐に耐えて建っているこの壊滅的な状態に私は言葉を失った。台風が上陸し2,3時間の間に、こんなにも地域を飲み込み破壊していったのかと考えると恐れおののいた。


        フィリピン台風30号被害

フィリピンに来て44年もの間、たくさんの台風を体験してきたが、こんなにも残虐性を持った破壊的な台風被害を見たのは初めてだ。今回の巨大な台風が引き起こした嵐は地域をかき回し、ほとんどすべてのものを瓦礫にしてしまったようだった。建物を破壊し、金属のものでさえ壊し、屋根を飛ばし、ブロック塀を灰のように粉々にしたのだった。


私たちは瓦礫があちこちにあるダーンバンタヤンに到着した。何とか生き残った人々にも会うことができ、彼らはこの世の終わりだと感じるほど恐ろしい体験だったと嘆き悲しみながら話をしてくれた。彼らの話によると、台風によってココナッツは木からもぎ取られ、まるで銃弾のように屋根や壁にあたり散ったとのことだった。子どもたちは風が引き起こす大きく恐ろしい風音や瓦礫が飛び散る音に怯え泣き叫んだと話した。家に保管していた食べものはだめになり、井戸の水は汚染されたという。


        フィリピン台風30号被害

その後、フェリーに乗り1時間かけてバンタヤン島へと移動した。サンタフェに着くと更に酷い状況を目にした。家も教会も破壊されており、島の主要な地域や海岸沿いは特に被害を受けていた。私たちはトライシクル(フィリピンの三輪モータータクシー)に乗り被害の大きかった地域へと向かった。道すがら殆どの家や建物が破壊されているのを見た。鶏肉産業は壊滅的被害を受けていた。

被害を受けたにも関わらず町が清掃に取組んでいる事や規律正しい印象を受けたので、市長に会った時にそう伝えた。市長は「多くの人々の命を救うことができたのですよ」と話した。「市として漁村の人々にはとにかく早急に非難することを伝えました。最初は村を離れたくないようだったが、これは強制避難命令ですと伝え、結果多くが救われたのです。」地域では16人のみ死亡が確認され、しかし多くの人々が負傷し、漁船を失ってしまいました。」

       
         フィリピン台風30号被害

        
その後、セブへと戻る途中で悲惨な状況に置かれているにも関わらず、多くのフィリピンの人々が回復力や勇気、勇敢さを持って立ち上がろうとしていることがわかりました。私たちはセブの避難所でアナとジョセという二人に会いました。ジョセは避難所で生まれたばかりの彼の新生児を胸に抱いて前向きに希望を抱いていました。一方、アナは父親が未だにタクバロンで行方が分からなくなり、多分亡くなったのではないかと一人で悲しんでいました。彼らは勇敢にも私たちに笑顔を向けてくれましたが、きっと心では悲しみにあふれていたことでしょう。私たちは役所の職員と家族と離れてしまったり、孤児になってしまった子どもたちをまずは保護し、登録しなければいけないと話し合い、今後、プレダからソーシャルワーカーを派遣し、その業務に協力し、協働することを約束しました。



          フィリピン台風30号被害

緊急支援はまだ続ける必要があります。プレダ基金は、支援として米やその他物資を被災した人々に配給していきます。この支援活動はサンカルロス大学と協力して支援物資が被災した人々に行き渡るようにします。ご寄付下さったみなさまや支援活動にご協力くださっているみなさまに心から感謝します。そして、プレダ基金は孤児になった子どもの保護に向けて意識啓発をしていきますので、引き続きご支援よろしくお願いいたします。
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フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、引き続き、台風30号被災緊急支援のために募金を集めています、どうぞよろしくお願いいたします。

募金受取口座
◆郵便振替口座
口座番号:00120−5−161532
 
口座名称:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

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三菱東京UFJ銀行 上野支店 普通 5360502
口座名:トクヒ)フリーザチルドレン



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